ひぐらしのなく頃に

d-chiba2009-09-10

俺はもともと、マンガは「明日のジョー」とか「カムイ伝」とか、剥き出しの劇画調が好きだった。
ペン一本で重厚な世界を生々しく。
もちろん手塚先生(彼だけは先生とつい言いたくなる)、赤塚不二夫鴨川つばめ・・・。古いな(笑)。でもとにかくルーツはその辺だ。
大島弓子の絵は最初抵抗があったが、話を読み進むうちに、俺の中の「少女マンガは小奇麗な嘘絵でよぉ・・・」の思い込みが壊れた。いや思い込みを超える内容だった。「綿の国星」。読み終わった時には、大島弓子の絵も好きになっていた。その後の作品を読んで、もっと哀しさ嬉しさをもらった。
そんな、自分の常識を壊す作品と出会う時が時々ある。出会う瞬間は怖いが、やはり嬉しい。
今どきのオタクアニメ系の絵は嫌だと思っていた。
それを壊したのはエヴァンゲリオンだった。
エヴァは特殊だと思っていたが。
最近ふと出会ってしまった「ひぐらしのなく頃に」。
ますますオタク絵である。最近現場の行き返りに電車で読んでいるが、ちょっと恥かしい(笑)。
しかし、この絵だからこそ、そこまで踏み込めるんだと、このギャップが良いんだと、今は思う。マンガは2006年〜2008年に出たようだ。
平和でほのぼのに見える村社会(そして萌え〜)が、とても嫌な血の惨劇に変わる話。

昭和58年の初夏に、繰り返し繰り返し繰り返し、起きる。
原因はいつも、疑心暗鬼。
「私があの時こんな事言わなければ・・・」の後悔に呼応して、繰り返し昭和58年の振り出しに戻るのだが。
最終回までは、村の中で複雑に絡み合った疑心暗鬼にはかなわず、殺戮の惨劇になってしまう。
仲間が皆死ぬ。復活してやり直し。でもまたダメ。惜しいけどダメ。ハイ今度は村が全滅・・・
こう書くとゲームみたいで、そもそもこの話はノベルゲーム(パソコン・ゲーム)から始まったらしい。それがまた現代的だが。
ゲーム感覚ではとても済まされない。疑惑、不安、恐怖、痛い痛いイタイタイタ・・・。
でも主人公達はいつも、それを越えよう、信じよう、理解しよう、勇気を出そうとして抗っている。
それが何度も何度もすれ違うが・・・
根っこは人間ドラマ、成長の物語なのだ。結果は惨劇でも、皆必死に願っていたのだ。

オタク的以前に、血とか猟奇的な表現がダメな人は見ない方が良い。表紙に騙されるなよ(笑)。
特に子供には見せない方が良い。作品として消化出来ない人がわざわざ見る必要はない。
アニメにもなったが、現実に女学生によるナタ殺人が起きて(このマンガで何度か出るシーンの模倣か?と言われ)、中盤で打ち切りになった。その後DVDでは全部出たようだ。
俺といえは、猟奇的表現に抵抗は無い(むしろ表現なら刺激的で好きだ)が、そのムードだけでは嫌だ(いや、ムードが徹底していれば、、、丸尾末広とか宮西計三とか。古いか(笑))。
なぜ猟奇表現が俺に必要なのか?ハッキリ言えないが、この世界の最悪を含めた表現を欲しているからだろう。

ひぐらし・・・」は、ムード(絵柄とか)に不満はあったが、それを超える、疑心暗鬼との戦いの歴史の話作り。
なかなか長いんで(まだ半分も知らない)、つい最終話をアニメで(ネットで)観てしまった。
やっと惨劇が起きない、全員が泣きながら救われ楽しい日々に戻る話も、とても良かった。
でもこれは、ウンザリするほど惨劇を見た後の方が響くわなぁ。すっ飛ばして観てしまい、俺にゴメン(笑)。
何度も何度も何度も、昭和58年の初夏なのだ。あらためて、そこがスゲェなぁ
原作は竜騎士07(なんだそりゃ?)。作画者は、多数。